半月板損傷
半月は膝関節のクッションと関節を安定させるための役割をはたす関節軟骨です。これが損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。
ひどい場合には、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、歩けなくなるほど痛くなります。
スポーツなどの怪我から生じる場合と、加齢により傷つきやすくなっている半月に微妙な外力が加わって損傷する場合とがあります。
前者では、体重が加わった状態でのひねりや衝撃によって半月だけが損傷するものと、前十字靱帯損傷などに合併して起こるものとがあります。半月は加齢に伴い変性するので、40歳以上ではちょっとした外傷でも半月損傷が起こりやすくなります。
このような症状は注意!!
- 膝が痛い
- 膝を曲げ伸ばしすると、引っかかる
- 膝の曲げ伸ばしができなくなる
- 膝に水が貯まる
ランナーズニー(ランナー膝)
ランナー膝はランニングによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称ですが特に腸脛靱帯が膝部外側で摩擦し、疼痛〈とうつう〉が発生する腸脛靱帯炎のことをいいます。腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表です。
膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が膝の外側とこすれて炎症を起こし、疼痛が発生します。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します(ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等)。
主な原因は使いすぎ(Over use)です。さらに過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足(ウォームアップ不足)、休養不足、硬い路面や下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因が加味されています。
初期はランニング後に痛みが発生しますが、休むと消失します。しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単に消失しなくなってきます。症状の誘発方法(徒手検査法)として、膝を90度屈曲して外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、疼痛が誘発されるgrasping testが有用です。
このような症状は注意!!
- 走り終えた後に膝が痛む
- 膝の外側や内側が痛む
ジャンパー膝
オーバートレーニングにより生じるため、使い過ぎ症候群とも呼ばれます。 ランニングやジャンプを長時間繰り返しおこなうことによって膝に痛みが生じてきます。
原因
靭帯や腱が骨に付着するところでは、筋肉のはたらきによるストレスが集中しやすく、組織の小さな損傷が生じます。また、靭帯が骨のすぐ上を通るところでは、膝の曲げ伸ばしによって靭帯と骨の摩擦が生じて炎症の原因になります。 また、ジャンパー膝になりやすい人の特徴として、筋力不足、筋力のアンバランス、骨の成長と筋の伸びとのアンバランス、からだの柔軟性不足、姿勢不良などが挙げられ、練習や環境の問題としては、オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切な靴、硬すぎたり軟らかすぎる練習場などが挙げられます。
このような症状は注意!!
- 膝の皿の上が走った時やジャンプ時に痛む
- 膝の皿の下の腱が走った時やジャンプ時に痛む
シンスプリント
シンスプリントと呼ばれるもののほとんどは「脛骨過労性骨膜炎」を指し、下腿内側(すねの内側)の下1/3に痛みが発生することを特徴とします。この障害はランナーに多くみられますが、どんなスポーツでも、シーズンの始めや新学期に新入部員がハードなトレーニングを集中的に行った場合に頻発します。特に硬い地面の上を繰り返しランニングする、つま先を上げる筋肉を過剰に使いすぎる、などが原因となります。
症状として最初は運動開始時の痛みから始まり、それを放置すると運動中にも痛みが出るようになり、疲労骨折につながることもあります。
シンスプリントは我慢すべきではありません。
痛みを感じる時間が日々長くなり練習を通じて痛みを感じるようであればすぐに対策をとることが大事です。
このような症状は注意!!
- 脛の内側に沿ってうずくような鈍痛がする
- 不快感は運動開始時に現れ、そのあと消えて運動が終了するとまた不快感が出るむ
- よく長距離を走る
アキレス腱痛
アキレス腱の痛みは、アキレス腱炎またはアキレス腱周囲炎といわれます。これはアキレス腱に慢性的に刺激を与えたために、アキレス腱の周辺組織が炎症を起こしたものです。
特にランニングやジャンプスポーツなどアキレス腱に繰り返し負担がかかる人に多い疾患です。
このような症状は注意!!
- アキレス腱やその周囲が痛む
- アキレス腱やその周囲が腫れる
- アキレス腱を押すと痛い
- 歩くとアキレス腱が痛く、歩くのが辛い
- 長時間の立ち仕事や運動をする
テニス肘
中年以降のテニス愛好家に生じやすい(30歳以上からテニスを始めた場合85%以上の方が痛くなる)のでテニス肘と呼ばれています。一般的には、年齢とともに肘の腱が痛んで起こります。
症状は手首(手関節)を伸ばす動きや、物をつかんで持ち上げる動作、タオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。
このような症状は注意!!
- 手のひらを下に向けて手首を上にあげると痛む
- 椅子を動かそうとすると痛い
- 雑巾をしぼると痛い
- フライパンを持つなど家事をしていて肘が痛
- いテニスのバックハンドストロークで利き腕の肘が痛い
野球肘・野球肩
野球肩・水泳肩とは、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント(impingement)症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)などの投球動作によって引き起こされる、様々な肩関節障害の総称です。
野球肩はオーバーヘッドスローイング動作を行うスポーツ全般で発症しますが、特に野球のピッチャー、キャッチャー、バレーボールのアタッカー、テニスのサーブ・スマッシュ時、アメリカンフットボールのクォーターバック、水泳(クロール、バタフライ)、ハンドボール、陸上競技のやり投などでも起こります。
野球肩・水泳肩の原因は一概には言えませんが、一般的には使いすぎによるもの(over use)とフォームが悪いなどといった使い方の問題(miss use)によるものと考えられています。
このような症状は注意!!
- 肩を動かすと痛い(投球動作など各スポーツにおける動作)
- 肩を上げる途中の一定の角度だけ痛く、他の角度では痛みがない(60~120°の間だけ痛い)
- 手のひらを返す動作で痛みが出る
- 腕を90°挙げた状態を維持できない
- 成長期で投げすぎた時に痛みが出る
- 変化球を多く投げる
腰椎分離症
腰椎分離症の原因は明確には不明とされています。しかし、近年は成長期に特に腰部へ捻れの負荷が加わることによる疲労骨折であると最近のスポーツ医学では考えられています。発症は小学低学年~中学時代前半頃に起こることが多いとされていますが、中学、高校時代になり腰痛が続くということで医療機関に掛かり診断がつくというのがほとんどです。統計上は一般でも9%の人に分離症者は見られると言われていますが症状がない人もいます。
このような症状は注意!!
- 腰を後ろへ反らせると腰の痛みを感じる
- 不安定感
- 長時間立っているような場合でも腰がつらくなる